大卒就職75.9%に上昇

文部科学省の学校基本調査によると、2023年3月に大学を卒業した学生
のうち、就職した人の割合は75.9%(44万8,073人)と2022年より1.4ポイ
ント増えました。
就職した人のうち、正社員は42万7,219人(8,964人増)、非正規社員は
1万5,896人(253人減)で、コロナ感染が収束して、企業の採用が活発に
なったことを物語っています。
就職以外では、大学院などへの進学が7万3,649人(543人増)で、12.5%
の割合を占めて、進学も就職もしていない人は4万8,642人(6,644人減)
で、8.2%の割合となっています。

一方、高校などを卒業した人の大学進学率(浪人生を含む)うは、57.7%、
短大や専門学校などを含めた高等教育機関への進学率は84%とそれぞれ
過去最高を記録しました。
2人に1人以上が大学に進学する中で、もはや大卒の学歴は、ブランドで
はなくなっています。

下図を見てください。
大学入学者はここ20年、ずっと横ばいで、ほとんど増えていません。
(大学は、入学者の定員を絞っているのが現状です)
しかし、18歳人口が劇的に減り続けているため、結果として、大学進学率
が上昇していることがうかがえます。

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内定指導体験記⑰

突然ですが、パラリーガルという職業を耳にしたことはあるでしょうか。
アメリカで誕生した職種で、弁護士の補助的業務に携わる仕事を言います。

本日紹介するのは、パラリーガルに転職したRさんと現在、パラリーガル
の職に就きながら、転職活動を続けているSさん。

Rさんの前職は、某クリニックの医師クラーク。診断書の作成やカルテの
代行入力、処方箋の作成、検査予約など、医師の指示にしたがって、業務
を代行する仕事をしていました。
Rさんは、補助的業務に長けた人。したがって、補助する対象が医師から
弁護士に代わっただけと考えれば、法律知識はなくても、採用されるかも
知れないと期待を持ち、私は「ある作戦」を敢行しました。
それは、書類の提出前に応募する弁護士事務所を見学する許可を取り付け、
そこで、責任者にRさんを引き合わせ、好印象を持ってもらうこと。

この作戦は、見事に成功して、内定を獲得できました。
後で責任者から聞いた話ですが、「正直、書類審査や筆記試験の出来は
イマイチだったが、面接の出来は抜群に良かった」。

一方、Sさんは、某法科大学院を卒業した方。弁護士を目指し、司法試験
の勉強をしていましたが、残念ながら合格できず、大手事務所のパラリー
ガルとして、就職しました。
転職を希望するのは、弁護士の下でこきつかわれ、それでいて労働条件や
給与などの待遇に良くないから。

なぜ、二人を並べて紹介したかというと、日本でのパラリーガルの地位は、
それほど高くない事実を説明したいからです。
アメリカでは、パラリーガルは、法曹協会が認定するリーガルプロフェッ
ション(法律専門家)として認知されており、大学が養成課程を用意する
ほど、メジャーな職業になっています。しかし、日本では資格すらありま
せん。そのため、弁護士のアシスタントに過ぎない面があります。

そのため、未経験者でも経験者(司法試験の勉強に取り組んできたという
意味で)でも、どちらも採用されるというわけです。

弁護士や裁判官ら法曹人口を大幅に増やす狙いで、国が設立の旗を振った
法科大学院は、入学者の定員不足で募集停止や廃校が後を絶ちません。
ピーク時には、74校あったのが、今では半数に減ったほどです。

弁護士ですら就職が大変な世の中というのに、弁護士の資格を持たない
“経験者”は、よほどのスキルや技能がなければ、好条件のパラリーガルの
求人で内定45927_photo1を獲得するのは至難となっています。

そのため、Sさんは、仕事の幅を広げるため、
行政書士や司法書士、社会保険労務士などの資格を取得して、転職活動に臨もうとしています。