静岡県内の大卒内定率

静岡労働局が2018年3月卒業予定の静岡県内大学生の就職内定率を発表
しました。それによると、10月末時点で、66.1%とリーマンショックの
影響を受ける直前の2009年3月卒の66.5%に次ぐ高い水準とのことです。

これを実数で見てみます。

静岡県内には大学が13校あり、卒業予定者数は7,625人となっています。
うち、就職希望者は6,298人います。内定率を算出する場合、分母がこの
就職希望者を指しますので、「就職留年を決めた」「就職活動を辞めた」
などした人数は含まれません。
一方、内定率を出す計算式の分子は就職決定者、つまり、内定者を意味
しますが、これは4,165人とのこと。しかし、必ずしも正社員として採用
された人とは限りません。(学校によっては)契約社員や派遣社員も内定者
としてカウントするところもあるからです。

特に分母が厄介です。なぜなら、「就職希望者」の数を減らせば、その分、
内定率は水増しできるからです。

そのため、次のような学生を削除しているケースも見受けられます。

・これまでブログで書き留めた留学生のように本当は日本で働きたいのに、
就職先が見つからず、「帰国扱い」にした学生
・公務員試験に落ちて、卒業後、再受験を決めた学生
・大学の就職課にまったく顔を出さない学生
・進路調査をしたのに回答を寄こさない学生
など。

したがって、今まで繰り返して言ってきましたが、内定率でその大学の就職
実績の良し悪しを判断するのでなく、在籍学生数に対する正社員就職決定者
の割合いを示す『実就職率』の方が重要になります。

さらには、過去〇年間の主な就職先を見るのでなく、『〇年度の就職先一覧』
として、卒業年度のすべての在籍学生どこに就職したか公開する大学の方が
遥かに信頼性が高いものです。

続・就活指導体験記⑦

本日はミャンマーからやって来た男性の留学生Tさん。
3年前に指導して、『外国人技能実習制度』を利用して日本にやって来る
外国人の通訳、日本での生活のアドバイスや身の回りのお世話などを行う
コーディネーターの仕事に就きました。

『外国人技能実習制度』とは、開発途上国の経済発展を担う「人づくり」
に貢献する目的でできた制度で、日本で最長5年働く間に、日本の技術や
技能、知識を習得して、母国に帰ってそれを移転してもらうものです。

毎年、実習生の受入数は増加しており、平成28年末には約22万人を超え
ました。日本に滞在する外国人留学生が約28万人であることからしても、
大変な人数だと言えます。

人数が増えたのは、職業の制限が緩和されたことが背景にあります。
製造業に加えて、農業、林業、建設業など、対象職種が拡大されました。

母国で研修を受けてから日本にやって来るとは言え、初めて日本で生活
するため、ルールがよく分からない実習生がいます。
Tさんは、アパート暮らしで困らないように、暖房器具の使い方やゴミの
出し方など、一つ一つ丁寧に教えるのが仕事です。
また、日本の会社と実習生の間に入って、日本語と母国語で、仕事内容を
説明するのも大切な役割です。

現在、中国、ベトナム、フィリピンの3ヶ国で、外国人技能実習生の7割を
占めていますが、ミャンマー労働省が「2020年までに日本への実習生の数
を10万人とする」宣言したことも後押しして、最近では、経済成長著しい
ミャンマーからやって来る実習生が増えています。

そのため、今後、Tさんのようなコーディネーターが活躍する機会が増える
ことが
予想されます。