中小企業への就職支援策 3.

中小企業への就職支援策 その3.(最終回)です。

そもそも中小企業とはどういう会社か理解していますか?
資本金の額と従業員数の数で、中小企業か大企業か決まります。製造業、卸業、サービス業によって、違いはあるものの、資本金3億円以下、従業員300人以下であれば、中小企業だと
考えて構いません。
日本の会社で中小企業の占める割合は99.7%。約7割の従業員が中小企業に勤めています。
それなのに、「中小企業で働くのはどうも・・・」と就活生が躊躇するのは、なぜでしょうか。

中小企業への就職を後ろ向きにしている理由の一つに親の影響力があります。
某調査で、「就職先を決定した際、誰の影響を最も受けましたか」という質問がありました。
1位は「企業の人事・採用担当者」でしたが、2位は「父親」、3位は「母親」となりました。
この結果から分かるように、”今時”の学生さんは、良い意味でも悪い意味でも、両親の意向を
“真面目に”聞き入れるのです。
ですから、「なんで、あんな(社名も知らない)会社に応募するの?」「○○さんは、もっと大きな
会社から内定をもらったそうだぞ!!」と親から言われようものなら、たとえ、その会社がキラリ
と光る中小企業や将来有望な中小企業だとしても、すっかり就職意欲は萎えてしまいます。

ですから、私の考える中小企業への就職支援策は【親への企業ガイダンスの開催】です。
親を対象にしますから、このガイダンスでは、わが子が就職しても大丈夫だという点を説明
する内容とします。
つまり、お子さんが入社したら、一人前な社員に育ててみせることを宣言するのです。
そのため、親には、
・どのような教育研修を受けるのか⇒中小企業でも「人を大事に扱う会社です」
・どんな社員とどういう環境で働くことになるのか⇒中小企業でも「働きやすい環境です」
・定着率、平均勤続年数、有給消化率などは⇒中小企業でも「全部公開します」
・住宅は取得できるか、結婚はできるか⇒中小企業でも「生活設計の目処が立ちます」
・将来の可能性はあるか⇒中小企業でも「こんな事業にチャレンジしています」
をアピールしてもらいます。

企業にとって、気が抜けないガイダンスである半面、積極的な企業PRにつながります。
さらに、これに参加した中小企業は、国や行政から『ホワイト企業マーク』のような格付けを
付与されれば、企業イメージは一気に高まると考えます。

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中小企業への就職支援策 2.

私なりに考える中小企業への就職支援策 2.は【共同求人・共同採用・共同研修】。
言うまでもなく、学生は中小企業の社名など知りません。認知度がなければ、単独で会社
説明会を開催しても、学生の集客は見込めません。

そのため、業界ぐるみで求人活動を行うのです。これだけなら、今ある業界セミナーや合同
企業ガイダンスと差異はありませんので、共同で”採用”と”研修”まで取り組むことを提言
します。

具体的に説明することにしましょう。

中小企業ソフトウェア会社が5社あるとします。5名の採用担当者が居並んで、1人の学生
に面接してもらいます。そして、面接終了後、5社の採用担当者が一堂に会して、「合格」
「不合格」の判定を協議してもらうのです。

「合格」「不合格」の判断は各社違いますが、協議内容を公開することで、採用担当者の
学生を評価する視点や各社の採否基準が明確になってきます。そうすると、
「なるほど。こんな観点で学生の良いところを見抜くんだ」
「こういう質問をすれば、学生の本音を聞き出せるのか」と、面接スキルも磨かれます。
さらには、
「オタクの会社が不合格でも、うちの会社は合格ですので」と会社間で1人の学生を融通
し合う(やや不適正な言い方ですが。。。)効果も期待できます。

一方、学生の方は一気に5社と面接できるわけですから、時間的なロスはありません。
また、5社の採用担当者の質問内容や面接のやり取りを比較して、自分と最も合っている
会社がどこなのか浮き彫りになってくるかも知れません。

さらには、研修も5社でやることを提言します。

ここで言う研修とは『入社前研修(内定者研修)』あるいは『入社後研修』を指します。

時間の経過につれて、「この会社と合わないかも・・・」と後悔する学生さんがいます。また、
企業側も「この学生、うちでやっていくのは厳しいかも・・・」と不安に思うことがあります。
このように会社、学生の双方(あるいはどちらか)がミスマッチを来す破目になった場合でも、
他の4社がこの学生と面接していたので、「それなら、うちで引き取りますよ!!」と名乗り出る
企業が現れるかも知れません。

そうすれば、内定辞退や早期離職を回避できます。