感動とドラマのある就活 その4. 

【編プロでアルバイト修行することを決めたDさん】

どうしても出版社で編集の仕事をやりたい女子就活生 Dさんの話です。
“若者の活字離れ”や”書籍の電子化”などの影響で、出版業界はお世辞でも成長企業とは
言えません。ましてや、採用人数が極めて少なく、容易に内定など取れません。

出版社に入社するのがどれだけ狭き門なのか!?  講談社を例に挙げて説明します。
2015年採用で、エントリーシートを提出した学生は3,300人。筆記試験を受験した学生は
2,700人。3回の面接を経て、合格した者はわずか10人!! 何と330倍の倍率です。

ご多分に漏れず、Dさんも講談社も受験しました。集英社、小学館などの大手から、新潮社、
文藝春秋、
幻冬舎、扶桑社etc.まで、新卒応募がある出版社は片っ端から応募しました。
中には、最終面接までたどり着いた会社も
ありましたが、結果はすべて不採用。

publisher_main[1]おまけに、常見陽平さん(先日、某新聞社による対談取材のため、来静された際に
Dさんと引き
合わせました。
何十冊も書籍を出している常見さんの力を借りれば、どこかの出版社に潜り込ませ
てもらえるのでは。と正直、甘い考えもあったのですが。。。)からは、あっさり「辞めた方がいいんじゃない!?」と言われる始末。


私は絶望視していましたが、Dさんは夢を諦めず、ここから本領を発揮しました。
何と某編プロ(※)のアルバイトで採用されたのです。それも、Dさんのこれまでの経緯を聞いた社長さんから、「将来、うちで正社員になるもよし」「経験を積んで、また来年、どこかの出版社にチャレンジするもよし」と言われたとのこと。
また、Dさんの夢である週刊誌の編集業務も「君の頑張り次第で任せたい」と言われました。

アルバイトでも月給制(金額は省略しますが、ちゃんとやっていける金額です)で、大学の授業に支障がないよう週3日の勤務。残業も19時以降はナシという好条件。

まさに捨てる神あれば拾う神あり。

Dさんは、今週末、お母さんと一緒に上京して、アパートを見つけてくるそうです。
これまで温めていた企画書も早速、社長さんに見せたそうです。

「努力は必ず報われるとは限らないが、努力しない者にはチャンスは訪れない」
Dさんが私に言っていたこの言葉をDさん自身が体現することで、立証してみせたのでした。

※編プロ
編集プロダクションの略。出版社や広告代理店などから書籍、雑誌等の編集実務を委託されるマスコミ関連企業。
独立した小規模経営の企業が多いが、大手出版社などが制作部門を分社化する場合もある。

静岡県内8割の企業が採用継続中

某調査機関の発表によると、2016年3月卒の大学、大学院を対象にした就活で、採用を予定
している静岡県内企業の約8割が8月以降も選考を継続していることが分かりました。
前年同月比にして、20.7ポイントも上回ったそうです。

この数値に特に衝撃はありません。
なぜなら、既にこうなる予兆は昨年に見られたからです。

2014年9月21日の静岡新聞では、こう記されています。
静岡県内の大学や経済団体でつくる「しずおか産学就職連絡会」によると、2014年春の採用活動実態調査で、内定辞退者があった企業は45%に上った。従業員が300人以上の規模が大きい企業では7割に達し、内定辞退を最小限に食い止めることが課題という。

同じ時期、某大手人材会社の調査ではこう報告がありました。
8月1日時点の内定率は78.2%と前年を.2ポイント上回った。学生1人当たりの内定社数は
1.97社。複数内定者の増加を受けて辞退率も52.0%と6.8ポイント上昇した。

ですから、景気回復が進み、就職スケジュールが繰り下がった本年度は、昨年度以上に
内定辞退者が出ても不思議はありません。

内定辞退を防げなかったのは、その用意を周到にしてこなかった、あるいは事態をここまで
深刻だと予測できなかった
企業側(採用担当者)にも原因があると思います。

私はこれまで↓の資料(一部)のようにセミナーや研修の場で、採用担当者に対して、
「採用活動は『全社挙げての営業活動』と位置づけるべきである」
「内定出したら終わりでなく、『内定後のリテンション(引き留め)活動こそ明暗を分ける』」

と言ってきました。pixta_14956909_S-1-588x391[1]

資料(一部)

内定辞退者が少ない会社は、内定者懇親会、
職場見学会、社長室訪問、勉強会など、内定後のフォローをまめに且つしっかりとやっています。

企業は今こそ採用活動を見直さないと、来年も同じ目に遭うこと必至です。