エントリーシートや面接で、「あなたの長所は何ですか?」と聞かれた際、
「コミュニケーション力です」と答える学生が多くいます。
どうやら企業の採用基準に「コミュニケーション能力」を挙げることが
背景にあるようです。
しかし、コミュニケーション力はそれ自体、抽象的な概念スキルです。
したがって、「私の長所は、コミュニケーション力です」と真顔で答える
学生には、コミュニケーション力を「伝える力」「聴く力」「問う力」に
分解して考えてくださいと言います。
「伝える力」とは、書く、話すなどの手段を通して、自分の意志や考えを
相手に正確で効果的に伝えるスキルを言います。ただ話すだけではいけま
せん。相手が理解、納得してくれて初めて伝わったとなるのです。
「聴く力」とは、相手の意見を熱心に耳を傾け(そのため、「聞く」でなく
「聴く」)、真意を汲み取る力のことです。それには、相手に共感したり、
心情に寄り添ったりする聴き方が大切になります。
「問う力」とは、言い換えれば、質問力。不明点や疑問点を明らかにする
力のことです。質問力を発揮すれば、問題の原因を究明、分析して、解決
の方向に導くことができます。
そのため、この3つの力を区別したうえで、コミュニケーション力をより、
ブレークダウンしてもらいます。例えば、
「伝える力」があると思う学生は、「論理的に説明できる」「交渉力が
ある」「人の心をつかむ力がある」。「聴く力」のある学生は、「共感力
があるむ「相手の立場になって考えることができる 」。「問う力」のある
学生は、「疑問や問題点の解決となる糸口を探し出せる」「質の高い情報
を得ることができる」などという表現に置き換わります。
もう一度、コミュニケーション力について考え直してみてください。